生まれ育った大都会東京を離れ、古き良き文化が残る京都で生活をしたことがありました。テレビで見たはんなりとした話し言葉や、風情のある町並みがそこらじゅうに溢れ、まるで旅行に来ているような気分の毎日でした。
京都の人は「間合い」を持っている様に思います。この間合いは、人と人との間に一定の距離を置くと言うものではなく、透き通ったシルクのベールの様な、柔らかなもの。決して冷たいものではなく、京都人としての慎重さや品格であったり、誇りのようなものを感じていました。京都の人と話すたびに、その素敵な間合いに憧れを持ったりもしていました。
数年後、再び京都へ訪れ、懐かしい町並みをカメラ片手に散策してみました。『変わるもの、代わらないもの。』僕にとって京都は、忘れていた何かを憶い出す場所です。